カキノキ
Kaki.JPG
柿の実(カキノキの果実)
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 Core eudicots
階級なし : キク類 asterids
: ツツジ目 Ericales
: カキノキ科 Ebenaceae
: カキノキ属 Diospyros
: カキノキ D. kaki
学名
Diospyros kaki
Thunb.
和名
カキノキ
英名
Kaki Persimmon
Persimmon

カキノキ(柿の木、学名:Diospyros kaki Thunb.)は、カキノキ (Ebenaceae) カキ[1]の1種の落葉樹である。東アジア原産[1]の同地域固有種日本韓国中国に多くの在来品種があり[1]、特に中国・長江流域に自生している。

熟した果実(柿)は食用とされ、日本では果樹として、北海道以外で広く栽培されている[1]。幹は家具材として用いられる。葉はの代わりとして加工され飲まれることがある。果実はタンニンを多く含み、柿渋は防腐剤として用いられる。現在では世界中の温暖な地域(渋柿は寒冷地)で栽培されている。黒色の縞や柄が生じ、部分的に黒色となった材はクロガキと呼ばれて珍重され、産出量が極めて少ない銘木中の銘木である[2]

名称

学術上の植物名はカキノキ、果実はカキ、あるいは一般的に両方を含めてカキ(柿)と呼んでいる[3]。野生状のカキノキは、「ヤマガキ」とも呼ばれている[4]

和名カキノキの語源は、赤木(あかき)、暁(あかつき)の略語説、あるいは「輝き」の転訛説など諸説あるが、正確にははっきりしない[5]。原産である中国の植物名(漢名)は柿(し)である[6]学名は、ディオスピロス・カキ(Diospyros kaki)といい[7]、日本から1789年ヨーロッパへ、1870年北アメリカへ伝わったことから、学名にも和名の発音と同じ kaki の名が使われている。果実は日本で食用として親しまれた果物で、英語でもカキ・フルーツ(kaki fruit)、ドイツ語フランス語など英語圏外の大抵の地域でもカキ(kaki)の名で通っている[7][3]

英語で柿を表すパーシモン(persimmon)の語源は、アメリカ合衆国東部の先住民インディアン)の言語であるポウハタン語で「干し果物」を意味する名詞「ペッサミン」(putchamin, pasiminan, pessamin) であり、先住民がアメリカガキ Diospyros virginiana の実を干して保存食としていたことに基づく。

近年、欧米ではイスラエル産の柿である「シャロン・フルーツ」(sharon fruit) が流通しており、この名で呼ばれることも多い。これはシャロン平野に因む名である。

分布・生育地

東アジア・中国揚子江沿岸の原産といわれている[6][5]。日本特産で、古くは中国から伝来し、日本で果樹として改良され[6][5]、北海道を除いた青森県以南の本州四国九州までの各地で栽培されている[8][7]。日本国外では、中国朝鮮半島済州島に分布する[9][10]。暖地には野性があり、ヤマガキとよんでいる[8]。カキノキは、野生種のヤマガキから作出されたという説と、古来から在来種として存在したという説とがある[7]

現在、世界各地で栽培されているカキノキの品種の多くは甘柿で、渋柿を甘くして食するために栽培するのは日本くらいだと言われている[7]。日本では昔から人里の民家近くに植えられていることが多く、よく手入れが行き届いて実もよくなることもあって、俗に「柿の木は竈(かまど)の煙の当たるところを好む」「根元を踏むと実がよくなる」などと言われている[11]

形態・生態

落葉の小高木で、高さは4 - 10メートルになる[8][4]。一年目の若枝には毛があり、基部には前年の芽鱗が残る[8][12]樹皮は灰褐色で、網目状に裂ける[10][12]。枝は人の手が加えられないまま放って置かれると、自重で折れてしまうこともあり、折れやすい木として認知されている。互生[10]、長さ8 - 15センチメートルの楕円形から卵形をしていて先が尖り、表面にややつやがある[13]葉縁鋸歯はない[8]葉柄は長さ1センチメートル前後で、太くて短い[4]

花期は初夏(5 - 6月)[10]。本年生枝の基部近くの葉腋がつく[8]花弁は白色から淡黄色で4枚ある[3]雌雄同株であり、雌雄雑居性で雌花は点々と離れて1か所に1つ黄白色のものが咲き、柱頭が4つに分かれた雌しべがあり、周辺には痕跡的な雄蕊がある。雄花はたくさん集まって付き、雌花よりも小さい[14]は4裂し、花冠は鐘形をしている[8]。日本では5月の終わり頃から6月にかけて[15]に白黄色の地味な花をつける。

果期は秋から初冬にかけて(9 - 12月)[10]果実(かき)と呼ばれ、品種によって大小様々な形があり[8]、秋に橙色に熟す。萼(がく)は「ヘタ」とよばれ、後まで残っている[8]。ヤマガキは枝、葉に毛が多く、果実は小さい[8]。柿の果実は、年によりなり方の差が大きい[3]。果樹をたたいたり、傷つけたりすると、花芽形成が促進されて実がなることが知られ、樹木の採種園でも樹皮を円周状に傷つける環状剥皮が行われる[10]。果実は、タヌキやサル、カラスなどにも食べられて、種子が人里近い山林に運ばれて芽を出すこともある[16]

冬芽は互生し、丸みがある三角形で短毛がある[12]。枝の先端に仮頂芽、その下には側芽がつき、芽鱗は4 - 5枚ある[12]。葉痕は仮頂芽の背後と、側芽のすぐ下にあり、半円形で維管束痕は1個ある[12]

生産

柿畑

国別生産量

国際連合食糧農業機関 (FAO) の統計データ(2005年)によると、カキの世界生産量は256万1732トン (t) である。このうち、72%を中国が、99.8%を日本を含めた上位6国が生産している。

中華人民共和国の旗 中国 1,837,000 t
大韓民国の旗 韓国 0250,000 t
日本の旗 日本 0230,000 t
ブラジルの旗 ブラジル 0150,000 t
イタリアの旗 イタリア 0051,000 t
イスラエルの旗 イスラエル 0040,000 t
 ニュージーランド 0001,300 t
イランの旗 イラン 0001,000 t
オーストラリアの旗 オーストラリア 0000650 t
メキシコの旗 メキシコ 0000450 t

地域別ではアジアが92%、南アメリカブラジルのみ)が6%、ヨーロッパイタリアのみ)が2%である。

日本での生産

柿は沖縄県を除く日本の全都道府県で栽培・出荷がされている(ただし北東北と北海道はカキノキの生育には寒冷すぎるため、渋柿がごく少数出荷されているに過ぎない)。柿の栽培面積が多い県は和歌山県、福岡県、奈良県の順で、都道府県別収穫量の日本一も和歌山県、市町村別では、奈良県五條市である[17]。また、甘柿は温暖な気候でないと甘く育たないため、産地は温暖な地方に限られている。

2017年度 [18]

  • 和歌山県 4万7500トン
  • 奈良県 3万2800トン
  • 福岡県 1万8000トン
  • 岐阜県 1万4600トン
  • 愛知県 1万2800トン
  • 新潟県 1万0300トン
  • 愛媛県 9350トン
  • 福島県 9030トン
  • 長野県 8290トン
  • 山形県 7520トン

日本の主な産地

東北地方

  • 山形県 - 収穫量全国7 - 11位[
    • 茨城県 -
      • 新潟県 - 出荷量全国6 - 8位[
        • 三重県]-
          • 鳥取県 -
            • 福岡県 - 収穫量全国3位。甘柿栽培は全国トップ。

              農村の過疎化や、高齢化などで、取られないまま放置される柿の実が増え、それらがニホンザルニホンジカなどの野生動物の餌になっているという指摘がある。特にツキノワグマは柿の実にひきつけられて人里に出没するという[28]

品種

一般に実が渋い「渋柿」と、実が甘い「甘柿」に大別され、さらに渋の多寡、種子の有無、渋の抜け方でさらに完全甘柿と不完全甘柿、不完全渋柿と完全渋柿に分けられる[29]。甘柿よりも渋柿の方が原種に近く、病虫害に強い[3]。また、甘柿であっても接ぎ木の台木に渋柿を使う[3]品種は多く地方品種を含めると1,000を超える[29]。品種により果実の大きさも大小あり、形状も角張っているもの、丸いもの、長いもの、平たいものなど多様である[7]

食用の栽培品種のほとんどが 2n = 90 の6倍体であるが、一部の種なし品種(平核無(ひらたねなし)や宮崎無核(みやざきたねなし))は 2n = 135 の9倍体である。播種から結実までの期間は長く、では「三年、柿八年」[30]とも言われるが、接ぎ木の技術を併用すると実際は4年程度で結実する。品種改良に際して甘渋は重要な要素で甘柿同士を交配しても渋柿となる場合もあり、品種選抜の効率化の観点から播種後1年で甘渋を判定する方法が考案されている[31][32]

甘柿

甘柿は渋柿の突然変異種と考えられている。1214年に現在の神奈川県川崎市麻生区にある王禅寺で偶然発見された禅寺丸が、日本初の甘柿と位置づけられている。なお、中国の羅田県周囲にも羅田甜柿という甘柿が生育しており、京都大学の調査によると、日本産甘柿の形質発現は劣性遺伝であるのに対し、羅田甜柿は優性遺伝で、タンニンの制御方法も全く異なっていると分かった。

完全甘柿

もともと渋が少ない品種で樹になった状態で成熟とともに渋が抜けていくものを完全甘柿という[29]。完全甘柿の代表的な品種は、富有と次郎、御所。富有は岐阜県瑞穂市居倉が発祥で原木がある。次郎は静岡県森町に住んでいた松本次郎吉に由来する。御所は奈良県御所市が発祥で、突然変異で生まれた最も古い完全甘柿である。

不完全甘柿

種子が多く入ると渋が抜けるものを不完全甘柿という[29]。不完全甘柿の代表的な品種は、上記の禅寺丸や愛知県が発祥の筆柿などがある。太秋は1995年に品種登録された中生種で熊本県が中心となって栽培しており、全国で急速に人気を高めている。

渋柿

渋柿は、実が熟しても果肉が固いうちは渋が残る柿である。代表的な品種は、平核無刀根早生である。平核無は新潟県が発祥である。刀根早生は奈良県天理市の刀根淑民の農園で栽培されていた平核無から1959年枝変わりとして見出され、1980年に品種登録された。

不完全渋柿

種子が入っても渋が一部に残るものを不完全渋柿という[29]

柿の利用

柿は弥生時代以降に杏子などとともに栽培種が大陸から伝来したものと考えられている。鎌倉時代の考古遺跡からは立木の検出事例があり、この頃には甘柿が作られ[9]、果実収穫を目的とした植栽が行われていたと考えられている。

柿の実

カキの果肉にはタンニン細胞があり渋味の原因となるタンニンを含有する[29]。カキタンニンは緑茶タンニンとは異なり分子量が大きく、特にたんぱく結合力が強く唾液たんぱくと結合して不溶物を生成し渋味になると考えられている[29]

品種によりタンニン細胞の数や形状は異なる[29]。完全甘柿のように渋がもともと少ない品種もある[29]。渋柿には1~2%のカキタンニンを含む[29]。果実中のカキタンニンは、水に溶ける可溶性の間は味覚が渋く感じ、果実が熟して水に溶けない不溶性に変わる褐斑(かっぱん:いわゆるゴマ)となると、渋みを感じなくなる[33]。具体的には成熟によりアセトアルデヒドが増えて水溶性のタンニンの間に架橋が起こりタンニンが不溶性となることで渋みを感じなくなる[29]。熟柿になると実は軟化するが、熟柿になる前の軟化していない状態でも果実中にアセトアルデヒドを生成させることで渋を抜くことができる[29]

食べ方は多様で、一般に生食するが、完熟して崩れんばかりのものを賞味する場合があったり、渋柿は干し柿にしたり、柿羊羹などの菓子材料などに加工したりする[7]。中国の北京では、冬にシャーベット状になったものを食べるという食べ方もある[11]

果実に含まれる主な有効成分は、グルコースマンニットなどの糖質10%、ペクチン、色素のカロチノイド、カキタンニン(柿渋)などがある[34]。カキタンニンはビタミンPによく似た分子構造で、毛細血管の透過性を高めて、高血圧を防ぐ効果があるといわれている[34]

渋抜き

渋柿の果肉ではタンニンが水溶性で渋みが強いため生食できず、渋柿を食用にするには果肉が軟らかくなった熟柿(じゅくし)になるのを待つか、タンニンを不溶性にする渋抜きの加工をする必要がある。アルコールで渋を抜くことを動詞で「醂(さわ)す」といい、これらの方法で渋抜きを施した柿は「さわし柿」と呼ばれる。ほとんどの場合収穫後に渋抜き処理を行うが、品種によっては収穫前に樹上で渋抜きを行うことも出来る[35]。渋柿のタンニンの性質は品種間で異なっており、適する渋抜き方法は異なる[31]

  • アルコール漬けにする(樽柿)。
  • アルコールを掛ける。35のアルコールを少量振りかけ(20 - 30kgに湯飲み1杯程度)、容器(何でもよい)に密封して1週間置く。
  • 乾燥させる(干し柿)。あんぽ柿市田柿は干し柿の一種。
  • 湯抜き(35 - 45℃の湯に浸ける)。鹿児島県紫尾温泉など、温泉につけることもある。
  • 米ぬかにつける。
  • 炭酸ガス脱渋(大量の渋柿を加工する業務用の方法。家庭でもドライアイスを使えば可能)。
  • 容器にリンゴと一緒に入れ密封して一週間置く
  • 燻蒸処理 - 甲子柿[36]

なお、加熱により不溶化したカキタンニンが再び水溶性になり渋くなる現象を渋戻りという[29]

干し柿以外の加工食品

生食、干し柿の他に次のような食品に加工されている。

日本料理では風呂吹きの他に和え物に使われる。繰り抜いて器にしたものは柿釜と呼ばれる[38][39]

このほか朝鮮半島では干し柿、生姜肉桂からスジョングァという飲み物を作る。また米国には柿プディング(パーシモンプディング)という伝統料理がある。製法はクリスマスプディングと似ており、本来は軟らかく熟したアメリカガキの実を用いる。

栄養価

かき 甘がき 生[40]
100 gあたりの栄養価
エネルギー 251 kJ (60 kcal)
15.9 g
食物繊維 1.6 g
0.2 g
飽和脂肪酸 0.02 g
一価不飽和 0.04 g
多価不飽和 0.03 g
0.4 g
ビタミン
ビタミンA相当量
(4%)
35 µg
(1%)
160 µg
チアミン (B1)
(3%)
0.03 mg
リボフラビン (B2)
(2%)
0.02 mg
ナイアシン (B3)
(2%)
0.3 mg
パントテン酸 (B5)
(6%)
0.28 mg
ビタミンB6
(5%)
0.06 mg
葉酸 (B9)
(5%)
18 µg
ビタミンC
(84%)
70 mg
ビタミンE
(1%)
0.1 mg
ミネラル
ナトリウム
(0%)
1 mg
カリウム
(4%)
170 mg
カルシウム
(1%)
9 mg
マグネシウム
(2%)
6 mg
リン
(2%)
14 mg
鉄分
(2%)
0.2 mg
亜鉛
(1%)
0.1 mg
(2%)
0.03 mg
他の成分
水分 83.1 g
水溶性食物繊維 0.2 g
不溶性食物繊維 1.4 g
ビオチン (B7 2.0 µg

ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した[41]。廃棄部位: 果皮、種子及びへた
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標RDIの割合。

ビタミンCビタミンAカロテン、糖質に富む[42][43]。ただし、干し柿に加工するとビタミンCはほとんど失われる。

生の果実は身体を冷やすが、干し柿(柿霜:しそう)はあまり身体を冷やさないという説がある[6]。凍結乾燥したカキの摂取実験では体表温の低下が認められており、拡張期血圧の上昇と表面血流量の減少が起きているとする研究がある[29]。なお、柿に含まれるカリウムには利尿作用もあるが、食べ過ぎに注意すれば問題はないとされる[42][43]。生の果実を薬効目的に用いるときは柿子(かきし)とも称され、生食すれば二日酔いに効果があるともいわれていて[6]、昔から酒の飲み過ぎのときに果実を食べるとよいといわれている[34]

柿渋

渋柿の汁を発酵させたものが柿渋である[16]。萼を除いた青い未熟果を砕いてすり潰して水を加え、2 - 3日ほど放置後、布で汁を搾ったものを生渋(きしぶ)という[6][8]。柿渋は、生渋をビンなど密封できる容器に詰めて半年から1年ほど冷暗所に置いて保存・熟成して作られるが[6][33]、古いものほど珍重される[8]

柿渋は、紙に塗ると耐水性を持たせることができ、和傘団扇の紙に塗られた。柿渋の塗られた紙を渋紙と呼ぶ。また、防腐用の塗料としても用いられた[16]石鹸の原料ともなる(柿渋石鹸)。民間療法では柿渋を柿漆(ししつ)と称して、高血圧症予防に1日量で柿渋10 ccに水100 ccを加えて薄めて飲んだり、猪口1杯をそのまま飲んだりする利用法が知られる[6][8]。また湿疹かぶれのときには、柿渋を水で3倍ほど薄めてガーゼに含ませ、患部に湿布する用法が知られている[33]

ヘタ

果実のヘタを乾燥したものは柿蒂(してい、「柿蔕」とも書く)という生薬で、夏から秋にかけて未熟果の萼(ヘタ)を採って天日乾燥して調製したものである[8]。柿蒂はしゃっくり止めに用いられ、1日量8 - 10グラムを水300 - 600 ccで煎じて3回に分けて服用する用法が知られる[6][8]

ヘタには、ヘミセルロースオレイン酸ウルソール酸などの成分が含まれ、ヘミセルロース質が胃の中で凝固することから、しゃっくり止めに使われたと考えられている[34]

若葉にビタミンCKB類、ケンフェロールクエルセチン、カキタンニンといったミネラルフラボノイドなどを多く含み[34]血管を強化する作用や止血作用を持つとされるため、飲用する(柿葉茶)などで民間療法に古くから用いられてきた。また近年では花粉症予防に有効とされ、従来の茶葉としてだけではなく成分をサプリメント等に加工され商品化されたものも流通している。

5月ころの若葉を採集して日干ししたものを「柿の葉茶」とよんでいる[34]。咳、出血、高血圧症予防の薬効目的で茶料として飲用する方法としては、夏に採取した成葉をきざみ天日で乾燥させた葉を柿葉(しよう)と称して[6]、炒って急須に入れてお茶代わりに飲み、常用するのがよいとされる[8]。薬草としての葉は身体を冷やす作用があることから、冷え症の人への服用は禁忌とされる[6]

またその殺菌効果から押し寿司を葉で巻いた柿の葉寿司[7]、和菓子などの添え物にされることもある。

柔らかい初春の若葉は天ぷらにして食用にできる。

木材

木質は緻密で堅く、家具[10]茶道具や和などの材料として利用される。芯材が黒いものは、特に珍重される[10]。ただし、加工がやや難しく割れやすいため、建築材としては装飾用以外には使われない。

また、かつてのゴルフクラブ(ウッド)のヘッドには柿材(特にアメリカガキ)を使った物が多くパーシモンの名で呼ばれていたが、現在ではカーボンメタルなど金属製のウッドが普及したためにあまり使われなくなった。

柿木は堅い樹であるが枝が突然に折れる性質があり、古より柿の樹に登る行為は極めて危険とされている[16]

柿の文化

柿にまつわる慣用句など

  • 「柿の花」は、「柿」「熟柿」「木守柿」は季語である。なおこの木守柿とはカキノキになった柿の実を全て収穫せず、木になったまま残しておく数個の柿の実のことである[44]。「こもりがき」「きもりがき」「こまもりがき」「きまもりがき」と読まれる。このような風習は来年の豊作への祈願であるとも、野鳥のために残しておくともいわれる。なお、ユズなどについても同じような風習がある。
  • こけら落としの「こけら」は「杮」と書くが、これは音読で「ハイ」と読む画数8画の漢字であり、画数9画の「柿」(かき・シ)とは全く異なる文字である。しかしながら、この二つの文字を別字とする根拠は明確ではない[45][46]
  • 「桃栗三年柿八年」と言われ、播種から初回結実までの期間は長い。
  • 「柿が赤くなると医者が青くなる」(ヨーロッパでは「トマトが赤くなると医者が青くなる」)と言うことわざがあり、豊富なビタミン類とミネラルが栄養価摂取の低い時代では医者いらずの万能薬として重宝された。
  • 大名に剥かせよ。柿は乞食に剥かせよ」。瓜は実の中心部が最も甘みが強く、皮を厚く剥くとよい。一方柿は皮のすぐ下が最も甘みが強いため極力皮を薄く剥くとよい。
  • 石田三成が打首前に「痰の毒」として干し柿を断った逸話が知られるが、実際には柿は昔から痰切りに良いとされ、三成自身も柿が好物だったとされる。
  • カキの

    柿の季語は“秋(晩秋)”であり、多くの人物に詠まれている。 他に柿若葉(夏)、青柿(柿青む、夏)、渋取(秋)などがある。

    • 祖父親まごの栄や柿みかむ(松尾芭蕉
    • 柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺正岡子規
    • 山柿や五六顆おもき枝の先(飯田蛇笏
    • 髪よせて柿むき競ふ燈下かな(杉田久女
    • 柿むく手母のごとくに柿をむく(西東三鬼
    • 柿もぐや殊にもろ手の山落暉(

      柿の毎年の豊作を祈願して「成木責め(なりきぜめ)」という行事が、小正月の1月15日に愛知県などの各地で行われる[3]。二人1組で、一人がナタの背などで樹皮をたたいたり、傷をつけて、その傷に小豆粥をすり込む。このとき「なるか、ならぬか、ならぬとちょん切るぞ」と脅すと、果樹の裏に隠れていたもう一人がカキノキに成り済まして「なります、なります」と答える[3]

脚注

[

出典

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  41. ^ 厚生労働省日本人の食事摂取基準(2015年版)
  42. ^ a b 管野浩編『雑学おもしろ事典』p.39 日東書院 1991年
  43. ^ a b 落合敏監修『食べ物と健康おもしろ雑学』p.165 梧桐書院 1991年
  44. ^ 『短歌表現辞典 草樹花編』p.45 飯塚書店 1996年。柿には守り神が宿るとして、「木守り柿」を一つ残しておく風習があると説明される。
  45. ^ 漢字雑文 - こけらとかきの違い・続篇 2011年10月24日
  46. ^ JIS X 0208-1997 付属書7 区点位置詳説 p.272-274

参考文献