JR logo (central).svg 中央新幹線
山梨実験線で試験走行を行うL0系(笛吹市)
山梨実験線で試験走行を行うL0系笛吹市
基本情報
現況 建設中(品川駅 - 名古屋駅間)
計画中(名古屋駅 - 新大阪駅間)
日本の旗 日本
所在地 東京都神奈川県山梨県静岡県長野県岐阜県愛知県三重県奈良県大阪府
種類 超電導磁気浮上式鉄道新幹線
起点 品川駅
終点 新大阪駅(予定)
駅数 6駅(品川駅 - 名古屋駅間)
未定(名古屋駅 - 新大阪駅間)
開業 2027年予定(品川駅 - 名古屋駅間)
2037年予定(名古屋駅 - 新大阪駅間)
所有者 東海旅客鉄道(JR東海)
運営者 東海旅客鉄道(JR東海)
車両基地 関東車両基地(仮称)、中部総合車両基地(仮称)[1]
使用車両 L0系
路線諸元
路線距離 438 km(東京 - 大阪間。交通政策審議会答申[2]による「南アルプスルート」の数値)
285.6 km(品川 - 名古屋間)
線路数 複線[3]
電化方式 交流33,000 V
最大勾配 40
(JR東海の計画段階環境配慮書による、東京 - 名古屋間の数値)
最小曲線半径 8,000 m
(JR東海の計画段階環境配慮書による、東京 - 名古屋間の数値)
最高速度 505 km/h[注 1]
路線図
Chūō Shinkansen map ja.png
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中央新幹線(ちゅうおうしんかんせん)は、東京都から大阪市に至る新幹線の整備計画路線である。

新幹線で初となる超電導リニアを採用する路線であり、東海旅客鉄道(JR東海)が開設した解説ウェブサイトやマスコミ報道などでは主に「リニア中央新幹線」という通称で呼ばれている[4][5]。 国による整備計画では「中央新幹線」であり、建設・営業主体のJR東海は報道発表や沿線向けの説明資料では「中央新幹線」と称している[6]

概要

高速輸送を目的としているため、直線的なルートで、最高設計速度505 km/h[7]の高速走行が可能な超電導磁気浮上式リニアモーターカー超電導リニア」により建設される。2011年5月26日に整備計画が決定され[7]、営業主体および建設主体に指名[8]されていた東海旅客鉄道(JR東海)が建設すべきことが同年5月27日に定められた[9]首都圏 - 中京圏間の[10]2027年の先行開業を目指しており、2014年12月17日に同区間の起工式が行われた[11][12][13]。完成後は東京(品川駅) - 名古屋駅間を最速で40分で結ぶ予定。東京都 - 大阪市の全線開業は最短で2037年[14]の予定で、東京 - 大阪間を最速67分で結ぶと試算されている。

東京都 - 大阪市の間をほぼ直線で結んだ建設ルートが予定され、整備計画によると経由地は甲府市附近、赤石山脈中南部、名古屋市附近、奈良市附近とされており[7]東海道新幹線バイパス路線としての性格を強く持つ。国鉄1972年からリニアモーターカー(後の超電導リニア)の開発に着手した。当初、リニアモーターカーによる超高速新幹線として第二東海道新幹線が構想されていたが、中央新幹線の計画と統合され、このため中央新幹線はリニア方式で建設され、リニアモーターカーは中央新幹線で実用化されるものとしてセットで考えられてきた。リニア方式で全線開業すれば東京都と大阪市が最短1時間7分で結ばれ、東海道新幹線と比較して所要時間を大幅に短縮できると見込まれている。2027年にリニア方式で東京都 - 名古屋市の間で先行して営業運転を開始する構想がJR東海から発表されており、同区間については2014年12月17日に着工された[10][11][12][13]

なお、新幹線の基本計画路線であり、2011年5月には整備計画も決定されたが、整備新幹線には含まれない。

日本経済がオイルショック後に低成長に転じたことなどから新幹線の建設は全体的に停滞したが、バブル期には東海道新幹線の輸送量が急伸し、近い将来に輸送力が逼迫すると考えられたことから中央新幹線が注目され、リニア方式での建設を前提として、JR東海による建設促進運動や沿線自治体による誘致運動が展開された。沿線各駅は東京や大阪へ1時間以内で到達できることから、首都機能移転議論のきっかけの一つにもなった。また、建設の理由としては東海道・山陽新幹線兵庫県南部地震の被害で長期間不通になった経験から、「東海地震の予想被災地域を通過する東海道新幹線の代替路線が必要である」ことや[15]、「東海道新幹線自体の老朽化により長期運休を伴う改築工事の必要が生じる可能性がある」ことが挙げられた[16]

路線データ(予定)

以下は、東京都 - 名古屋市間の概要である。

  • 路線距離(実キロ):285.6km[1]
  • 駅数:6(起終点駅含む)[1]
  • 複線区間:全線複線[3]
  • 電化区間:全線電化(交流33,000V)[3]
  • 走行方式:超電導磁気浮上方式[7]
  • 最高設計速度:505km/h[7]
  • 最小曲線半径:8,000m[1]
  • 最急勾配:40[1]
  • 車両基地:関東車両基地(仮称。神奈川県相模原市緑区鳥屋)および中部総合車両基地(仮称。岐阜県中津川市千旦林)の2か所[1]
  • 構造種別延長割合
    • 路盤:2 % (4.1 km)
    • 橋梁:4 % (11.3 km)
    • 高架橋:8 % (23.6 km)
    • トンネル:86 % (246.6 km)

設置予定駅

品川駅名古屋駅新大阪駅は現在の東海道新幹線の駅に中央新幹線の駅が設置されることが計画で明らかになっている。

駅名 営業キロ 接続路線・備考 所在地 位置
品川駅 0.0 東海旅客鉄道■ 東海道新幹線
東日本旅客鉄道JY 山手線(JY 25)・JK 京浜東北線(JK 20)・JT 東海道線(JT 03)・JU 宇都宮線JU 高崎線JJ 常磐線JO 横須賀総武線(JO 17)
京浜急行電鉄KK 本線(KK 01)
東京都港区港南二丁目[1] 地図
神奈川県駅
橋本駅[18]
東日本旅客鉄道:JH 横浜線 相模線
京王電鉄KO 相模原線
神奈川県相模原市緑区橋本[1] 地図
山梨県駅 甲府方面へのBRTを計画中)
長野県駅との間でCC身延線小井川駅 - 常永駅間にあたる)と交差するが、身延線との接続予定はない。
山梨県甲府市大津町字入田[1] 地図
長野県駅 東海旅客鉄道:CD 飯田線(新駅計画中、伊那上郷 - 元善光寺間にあたる) 長野県飯田市上郷飯沼[1] 地図(コンコースの位置)[19]
岐阜県駅 (未定)
CF 中央線美乃坂本駅 (CF 18)の至近に設置予定。中央線と接続する可能性もある。
岐阜県中津川市千旦林字坂本[1] 地図
名古屋駅 285.6 東海旅客鉄道:■ 東海道新幹線
CA 東海道線(CA 68)・CF 中央線(CF 00)・CJ 関西線(CJ 00)
名古屋臨海高速鉄道 AN  あおなみ線(AN 01)
名古屋市営地下鉄H 東山線(H 08)・S 桜通線(S 02)
名古屋鉄道NH 名古屋本線名鉄名古屋駅、NH 36)
近畿日本鉄道E 名古屋線近鉄名古屋駅、E 01)
愛知県名古屋市中村区名駅[1] 地図
三重県駅 (未定) 三重県亀山市[20] 地図
奈良県駅 (未定) 奈良県学研都市地区付近[20] 地図
新大阪駅 438.0 東海旅客鉄道:■ 東海道新幹線
西日本旅客鉄道■ 山陽新幹線 北陸新幹線(予定)・
A JR京都線(JR-A46)・F おおさか東線(JR-F02)・ 梅田貨物線なにわ筋線(計画中)
阪急電鉄HK 新大阪連絡線(計画中)
大阪市高速電気軌道(Osaka Metro):M 御堂筋線(M 13)
大阪府大阪市淀川区西中島5丁目[20] 地図

山梨県駅と長野県駅の間で静岡県静岡市葵区を通過するが、赤石山脈内の大井川源流部であり駅の設置予定はない。

車両基地

関東車両基地

相模原市緑区鳥屋付近に関東車両基地(仮称)が設けられる。神奈川県駅(仮称)の名古屋駅側に位置する[21]

中部総合車両基地

中津川市に中部総合車両基地(仮称)が設けられる。岐阜県駅(仮称)の品川駅側に位置する[21]

車両

山梨リニア実験線の先行区間18kmでは、1996年から2011年にかけてMLX01による試験が行われた。実験線全区間43kmの完成後、2013年から営業用車両L0系での試験が開始されている。

L0系の試験車両は先頭車を三菱重工業、中間車を日本車輌製造が製造したが、三菱重工業は発注元であるJR東海と製造コストの面で折り合えなかったことから、リニア新幹線車両の開発・製造から撤退している[22][23]。改良型試験車の先頭車は日立製作所が製造している[24]

リニア方式での建設

1990年には中央新幹線の通過予定地である山梨県都留市付近に山梨リニア実験線を建設する工事に着手した。過去の新幹線では先行して建設した実験線が実用路線の一部になってきたことから、事実上の中央新幹線着工と期待された。当初は総延長42.8kmの複線路線が計画されたが、予算節減のため先行区間として18.4kmのみを建設し、1997年より実験を開始した。

運輸省(当時)超電導磁気浮上式鉄道実用技術評価委員会は2000年に「長期耐久性、経済性の一部に引き続き検討する課題はあるものの、超高速大量輸送システムとして実用化に向けた技術上のめどは立ったものと考えられる」と評価した[25]2005年には「実用化の基盤技術が確立したと判断できる」と総合技術評価した[25][26]2006年には「2016年度までに他の交通機関に対して一定の競争力を有する超高速大量輸送システムとして実用化の技術を確立することを目指す」と表明した[27]。2011年の交通政策審議会中央新幹線小委員会による答申でも超電導リニア方式が適当とされ、整備計画もそれで決定された[7]

鉄軌道方式との比較

鉄軌道方式で建設される可能性も存在した。JR東海は鉄軌道での高速試験車両として955形新幹線高速試験電車(通称300X)を開発し、1995年から7年間にわたり走行試験を実施した。リニアには及ばないものの、東日本旅客鉄道(JR東日本)の新幹線E5系電車は2013年3月から最高速度320km/hで営業運転を実施している[注 2]。また、鉄軌道方式であれば山陽新幹線への直通、および東海道新幹線との共通運用も可能になる。

このような理由から鉄軌道方式を推す意見も一部にあったものの、事業主体であるJR東海は自己負担による超電導リニア方式(超電導磁気浮上方式)での建設を発表し、国土交通省はJR東海に対し超電導磁気浮上方式による建設を指示した。なお、2009年に発表されたJR東海の試算には、超電導リニア方式との比較のため、在来型新幹線方式の試算も併記されている。

消費エネルギーの比較

1座席(=1乗客)が1km移動するのに必要な電気エネルギーの比較[28]

  • リニア新幹線:90 - 100Wh / 座席・km[28]
  • 鉄軌道の新幹線(「のぞみ」) : 29Wh / 座席・km[28]

つまり、リニア(中央)新幹線は、同じ1名の乗客が同じ距離を移動するのに、従来の鉄軌道の新幹線の3倍ほどの電気を消費すると推算される[28]

ルート

検討されていたルート

検討されていたルート

首都圏から相模原市付近、山梨リニア実験線を経由し、名古屋に至るまでのルートとして下記の3案が検討されていた。

  1. Aルート木曽谷ルート (山梨県甲府市付近から木曽谷を経て愛知県名古屋市へ至る大回りルート)
  2. Bルート伊那谷ルート (山梨県甲府市付近から伊那谷を経て愛知県名古屋市へ至る迂回ルート)
  3. Cルート南アルプスルート (山梨県甲府市付近から赤石山脈(南アルプス)を経て名古屋市付近へ至る直線ルート)

JR東海は、距離が短く経済合理性が高いとされる「南アルプスを貫く直線ルートでの建設は可能」とする地形・地質調査結果[29]に基づき、Cルートでのリニア中央新幹線の建設方針を2008年10月21日に固めた。これに対し長野県は1989年(平成元年)の県内合意[30]に基づきBルートによる建設を要望し、Cルートでの建設へは反対を取り続けていたため、リニア新幹線構想が頓挫しかねない場合の状況打開策として長野県を迂回する第4のルートが提案されるとの声もあがった[31]

Bルート支持・Cルート反対の立場を取ってきた長野県だが、2010年6月の交通政策審議会中央新幹線小委員会では特定のルートへの賛否を明言しない中立方針へと転換した[32]。同年10月20日には、小委員会が「Cルート」(南アルプスルート、直線ルート)が費用対効果などで優位とする試算を発表し、中央新幹線のルートはJR東海が主張していたCルートで事実上、決着した[33]。同年12月に中央新幹線小委員会が出した『中間とりまとめ』では、費用対効果、技術面での評価、環境の保全、地域の意見についてまとめたうえで「以上を総合的に勘案し、中央新幹線のルートとして南アルプスルートを採択することが適当と考えられる。」と結んでいる[34]。これについて長野県は「最終的に国の判断は尊重すべき」としている[35]。2011年5月12日、「南アルプスルートを採択することが適当」とする最終答申をし[2]、同26日には国の整備計画として「赤石山脈中南部」を経由地とする(Cルートでの)整備計画が決定された[7]

2013年9月、JR東海は「中央新幹線(東京都・名古屋市間)環境影響評価準備書」[36]を公表し、東京と名古屋間のルートと駅の位置などについての計画を明らかにした。

試算

ルートの検討にあたり、各ルートの路線長、所要時間、需要量および費用などの試算が2009年に公表された[37][38][39]。これによる試算の結果は下記の通りである。超電導リニア方式との比較のため、在来型新幹線方式の試算も併記されている。

東京 - 名古屋間
ルート 方式 路線長 所要時間 輸送需要量
(2025年)
建設工事費 維持運営費 設備更新費
A. 木曽谷ルート 超電導リニア 334km 46分 156億人キロ 5兆6300億円 1770億円/年 0670億円/年
在来型新幹線 1時間27分 072億人キロ 4兆4500億円 1120億円/年 0370億円/年
B. 伊那谷ルート 超電導リニア 346km 47分 153億人キロ 5兆7400億円 1810億円/年 0680億円/年
在来型新幹線 1時間30分 068億人キロ 4兆5000億円 1140億円/年 0370億円/年
C. 南アルプスルート 超電導リニア 286km 40分 167億人キロ 5兆1000億円 1620億円/年 0580億円/年
在来型新幹線 1時間19分 082億人キロ 4兆1800億円 1030億円/年 0330億円/年
東京 - 大阪間
ルート 方式 路線長 所要時間 輸送需要量
(2045年)
建設工事費 維持運営費 設備更新費
A. 木曽谷ルート 超電導リニア 486km 1時間13分 396億人キロ 8兆9800億円 3290億円/年 1250億円/年
在来型新幹線 2時間08分 198億人キロ 6兆7100億円 1890億円/年 0610億円/年
B. 伊那谷ルート 超電導リニア 498km 1時間14分 392億人キロ 9兆0900億円 3330億円/年 1270億円/年
在来型新幹線 2時間11分 190億人キロ 6兆7700億円 1920億円/年 0620億円/年
C. 南アルプスルート 超電導リニア 438km 1時間07分 416億人キロ 8兆4400億円 3080億円/年 1160億円/年
在来型新幹線 2時間00分 219億人キロ 6兆4000億円 1770億円/年 0560億円/年

決定されたルート

2011年6月7日、JR東海は東京・名古屋間のルートおよび駅位置のその時点での計画を発表した[40]。調査の結果、東京都は品川駅、神奈川県は相模原市緑区、山梨県は峡中地域、岐阜県は中津川市西部[41]、愛知県は名古屋駅に駅が設置される予定だと発表された。別途選定するとされていた長野県は、2011年8月5日、高森町・飯田市北部に駅を設置する予定であることが発表された[42]

2013年9月にJR東海が公表した「中央新幹線(東京都・名古屋市間)環境影響評価準備書」[36]によると、東京都港区と名古屋市にターミナル駅を置き、神奈川県相模原市、山梨県甲府市、長野県飯田市、岐阜県中津川市に中間駅を置くという計画になっている。

名古屋以西のルート

名古屋以西のルートについては、基本計画(昭和48年11月15日運輸省告示第466号)の主要な経過地で「奈良市附近」とあるのみで、具体的なルートは記されていない。経由地付近の自治体では中間駅の検討、誘致運動が行われている(後述)。

通過予定の自治体

東京駅 - 名古屋駅間