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ハルビン駅で出発を待つ中国国鉄の東風4D型ディーゼル機関車中国語版の牽く列車
夜のハルビン駅ホームに待機する寝台列車

中華人民共和国の鉄道(ちゅうかじんみんきょうわこくのてつどう)では中華人民共和国における鉄道について記す。中国の都市間を結んでいる鉄道は、大部分が中国国鉄によって運営されている。この他に市営の地下鉄新交通システムなどの都市内交通機関や、産業目的の鉄道などが存在している。

国鉄

2018年1月1日現在の全国の鉄道網

中華人民共和国では、長距離輸送・移動において最も多く用いられるのが鉄道である。都市内以外のほとんどの路線が中国鉄路総公司によって運営されており、事実上の国鉄である。長らく国務院鉄道部によって運営されてきたが、2013年3月14日全国人民代表大会での承認を経て設立された中国鉄路総公司に移管された。

2015年末には、中国の鉄道総延長は121,000kmに達し[1]、規模ではアメリカに次ぎ、世界第2位だといわれている。鉄道網は八縦八横とも呼ばれる幹線をはじめとして、国内縦横に張り巡らされており、現在ではマカオを除く、すべての特別行政区に広がっている。2009年の時点で、国鉄は貨車603,082両、客車49,355両、機関車18,922両を保有している[2]。また、1日当たり38,000本の列車が運転されていて、その内の3,500本は旅客列車である[2]

2008年10月に発表された、中長期鉄道網計画による、政府の2020年までの鉄道投資は総額2兆になるといわれている[3]。この計画は、2006 - 2010年に総額1.25兆元を投資するという第11次五か年計画をさらに発展させたものであった。鉄道建設への投資の増加によって、中国の鉄道網は2007年末には78,000kmであったが、2010年末には91,000kmへと拡張された。さらに、2012年末までには110,000kmになると予想されている。鉄道の重要性が増している理由の一つに貨物輸送需要の増加があり、国鉄は需要に合致した輸送力を確保する必要に迫られている[4]

歴史

中国の鉄道(中国鉄路)は、清朝時代の1876年光緒2年)にイギリスによって敷設された呉淞鉄道上海 - 呉淞間14.5 km)が始まりであるが、これは無許可で作ったものなので数年で撤去された。本格的なものは1881年光緒7年)に李鴻章の命によって敷設され、ラバが引く車両を用いた唐胥鉄道(河北省唐山 - 胥各荘間9.2 km)である。1882年(光緒8年)には蒸気機関車の使用も開始された。

以後、中国の鉄道の多くは外国資本によって敷設されたため中国を搾取する道具と見られ、1899年(光緒25年)に起こった義和団の乱では攻撃対象にされた。1911年宣統3年)には民間資本で作られていた粤漢鉄道広州 - 武昌)・川漢鉄道漢口 - 成都)を国有化して列強の抵当に入れることに反対した四川省の資本家・民衆運動がきっかけで辛亥革命が起こるなど、時代に翻弄される格好となった。

また日露戦争の結果、満州南部地方(現東北地区遼寧省)にロシアが建設した東清鉄道南部が日本に譲渡され、南満州鉄道(満鉄)となった。その利権を保護するために日本は1931年満州事変を起こした。満鉄ではあじあ号など保守的な日本内地鉄道省とは一線を画した先進的な試みを早くから行った。続く1937年 - 1945年日中戦争では、日本軍が占領した華北地域の鉄道は満鉄系列の華北交通、華中地域の鉄道は日本と同盟関係にあった中華民国汪兆銘政権の国策会社華中鉄道によって運営され、日本と同盟関係にあったドイツまで中央アジア経由で結ぶ大東亜縦貫鉄道も計画された。

日中戦争後、国共内戦によって1949年中華人民共和国が成立すると、鉄道は国の重要な産業とみなされるようになり、原則として国有鉄道の運営とされるようになった。そして国の成立当時総延長21,810kmに過ぎなかった鉄道は、国家指導下で急速に建設が進められ、文化大革命後の1978年には43,000km超に、1985年には52,000km超、そして2009年には86,000km超の路線を有するまでになり、インドの62,000kmを抜いてアジア最大、世界でもアメリカについで第2位の路線網を誇っている。現在も、各地で新線の建設が進められており、2006年10月に鉄道部が発表した計画では、第11次五か年計画後の2010年には、総延長を90,000km超にすることを目標にしている。

また、電化区間は中華人民共和国成立当時はゼロであり、複線区間も866kmであったが、2010年末現在ではそれぞれ42,000km超・37,000km超となり、電化区間距離についてもロシアに次ぎ世界第2位となっている。2010年末に電化率と複線化率はそれぞれ46%と41%になった。

2008年世界金融危機の際の中国政府による4兆元の公共投資策(内需拡大十項措置英語版)の一環で2010年代に入ると、都市間高速鉄道北京 - 天津鄭州 - 西安武漢 - 広州深圳 - 香港などの区間に導入済みとなり、2018年には世界の高速鉄道の距離の3分の2も占める世界最長の高速鉄道網を有するまでになった[5]。また、貨物鉄道輸送では中国政府が国策に掲げた一帯一路構想に後押しされ、中国大陸とヨーロッパシベリアモンゴル、中央アジア経由で結ぶ中欧班列渝新欧鉄道英語版義烏・ロンドン路線英語版義烏・マドリード路線英語版)の運行本数は2013年の80本から2018年には1万本を超えるまでになった[6][7]

現状

大巴山トンネルに入る旅客列車

中国の鉄道の特徴として、同じ路線に高効率で貨物輸送と旅客輸送と兼ねて行うことが挙げられる。

2009年現在、トンベースの年間貨物輸送量はアメリカを上回り、約33.3億トンで世界一である(ただし、トンキロベースでは2兆5239億トンキロ、わずかの差でアメリカに次世界第2位である)。

一方、旅客輸送は、2009年の年間輸送量は約15.2億人(都市間のみ、北京や上海などの大都市都市鉄道の輸送量を含まないので、日本の約6分の1程度)、7878億人キロ(日本の約3倍で世界一)である。このことは、長距離の利用客が非常に多いことを意味する。実際、旅客輸送は、長距離輸送が中心であり、2 - 3日をかけて走る列車も少なくない。直通を原則としたダイヤ構成で、一部のローカル線を除き、乗り継ぎでの利用は考慮されていない。

中国の鉄道で最も利用客が多くなるのは、毎年1 - 2月の春節旧正月)の前後における帰省客輸送「春運」である。この時期には列車が全国で大増発されるなど、当局では延べ約2億人とも言われる利用客数を捌くために、40 - 45日程度の特別体制が組まれる。近年は都市部への出稼ぎが多くなったこともあって、輸送力は絶対的に不足しており、切符の購入は困難を極めるほか、切符が高額で取引されることもあった。そのため、現在は後述する「実名制」が取り入れられている。

2008年の春節輸送では、同時期に襲った大寒波の影響で、全国的に運休や立ち往生が続出するなど、ダイヤが大幅に乱れ、主要な駅には数十万人とも言われる利用客が数日間も滞留して、一部では不穏な状況になるなど、全国で大混乱に陥った。

欧米諸国や東南アジア、オーストラリア日本韓国などの大都市圏では、都市近郊鉄道が発達しているが、中国では、地下鉄路面電車モノレールトロリーバスが存在する都市はあるものの、その数は、中国の大都市の数に対して非常に少ない。日本の国電や、ドイツのSバーンのような、都市近郊電車網は、中国では皆無であった。しかし、近年は上海や北京などで全区間高架または地上を走る軽軌と呼ばれる都市近郊鉄道も開通しており、蘇州などでも建設が始まっている。

運行概要

列車種別

中国の列車種別は下記の通りである。(停車駅が少なく、速度の速い順) 【列車番号の頭文字のアルファベットは中国語の列車種別のピンインの頭文字から取っている】

  • 高速EMU列車中国語版(頭文字G【Gāo-sù-dòng-chē】)- 最高時速300km以上のCRH型電車
  • 城際動車組列車(都市間高速動車組列車、頭文字C【Chéng-jì】)- 最高時速300km以上のCRH型電車
  • 動車組列車(頭文字D【Dòng-chē-zǔ】)- 最高時速200 - 250kmのCRH型電車
長距離 D1 - D4000;短距離 D4501 - D7300
  • 直達特快列車中国語版(頭文字Z【Zhí-dá】)- 2004年4月18日に新設された。設定当初は大都市と大都市を夕方から夜に発車して翌朝から昼までに到着する列車で、途中停車駅が無かった。しかし2014年12月10日のダイヤ改正で、長距離列車や香港から本土への直通列車(城際直通車)を含む多数の列車が特快列車から格上げされ、途中停車駅も設定された。なお、最高時速160kmの高速運転を実現している。
  • 特快列車中国語版(頭文字T【Tè-kuài】)- 途中停車あり(停車駅が少なく主に省都)、日本の特急列車に相当する。
長距離特別快速 T1 - T5000番台;短距離特別快速 T5001 - T9998番台
長距離快速列車K1 - K2000番台,途中停車あり(停車駅が少なく主に地方都市);短距離快速列車途中停車あり(停車駅が少なく主に鉄道局中心駅付近の都市)
  • 臨時旅遊列車(頭文字Y【lǚ-Yóu】)- 観光列車
長距離観光列車 Y1 - Y498番台;短距離観光列車 Y501 - Y998番台
長距離(いわゆる「春節」の帰省客輸送)列車 L1 - L998番台;短距離臨時列車 L7001 - L7998番台
(1000 - 1999番台)- 3つ以上の鉄路局を跨ぐ普快列車で、長距離列車である。;(2000 - 2999番台)- 2つの鉄路局を跨ぐ普快列車で、中距離列車である。;(4000 - 5999番台)- 1つの鉄道局管内のみを運行する普通快車。

括弧内は列車番号につくアルファベット、または列車番号

直達特快については直行便#中国鉄路におけるノンストップ列車に記述がある。
直達特快、特快、快速、管内では追加料金が必要であり、空調の有無でも追加料金が必要である。

長距離列車

4000km以上運行される定期列車を以下の表に示す。モスクワ行き列車と臨時列車を除いた最長距離列車は、広州ラサ間約4,980kmを54時間かけて走るZ264/265・Z266/263次列車である。なお、運行時間最長はチチハルウルムチ間で運行されるK1082/1083、K1084/1081次列車中国語版で、その運行時間は68時間19分に及ぶ[8]

順位 列車番号・列車名 始発駅 終着駅 運営者 運行距離 所要時間 出典
1 Z264/265・Z266/263次列車 広州 ラサ 広州鉄路集団公司 4,980 km 54時間30分
(2泊3日)
[9]
2 K1082/1083・K1084/1081次列車中国語版 チチハル ウルムチ ハルビン鉄路局 4,827 km 68時間19分
(チチハル行き 3泊4日)
[8]
3 Z136/137・Z138/135次列車中国語版 広州 ウルムチ南 ウルムチ鉄路局 4,684 km 54時間13分
(2泊3日)
[9]
4 T206/203・T204/205次列車中国語版 上海 伊寧 ウルムチ鉄路局 4,716 km 55時間16分
(上海行き 2泊3日)
[10]
5 Z112/113・Z114/111次列車中国語版 ハルビン 海口 ハルビン鉄路局 4,458 km 65時間42分
(2泊3日)
[9]
6 Z164/165・Z166/163次列車中国語版 上海 ラサ 上海鉄路局 4,373 km 49時間
(2泊3日)
[9]
7 K2288/2285・K2286/2287次列車中国語版 長春 昆明 瀋陽鉄路局 4,161 km 60時間43分
(3泊4日)
[11]
8 Z40/41・Z42/39次列車 上海 ウルムチ南 ウルムチ鉄路局 4,077 km 38時間51分
(2泊3日)

国際列車も運行されており、その一覧を以下に示す。北京・上海・広州などから香港へ向かう列車は、返還後も今に至るまで起終点の駅での出入国審査が存在する。香港行きは「国際列車」ではなくなったが、国内列車とは異なる運行システムとなっており「越境列車」に相当する。

2014年12月10日より、北京西駅からベトナムのドンダン駅まで直通していたT8705/8706次列車が運休となった。(2015年10月)現在も北京西~ハノイ(ザーラム)間の切符は通しで販売されるが、北京からハノイに行く乗客は、南寧でZ5/6次列車中国語版からT8701/8702次列車に乗り換えなければならなくなった[12][13]

国・地域 列車番号・列車名 始発駅 終着駅 運営者 運行距離 所要時間 出典
香港の旗 香港 広九直通列車 香港の旗 香港
九龍駅
中華人民共和国の旗 広州東 香港の旗 香港MTR
中華人民共和国の旗 中国鉄路総公司広州鉄路集団公司
中華人民共和国の旗 広深鉄路株式会社中国語版
173 km
(広州東行き)
1時間50分
(広州東行き)
[14]
京九直通列車 中華人民共和国の旗 北京西 香港の旗 香港
(九龍駅)
中華人民共和国の旗 中国鉄路総公司広州鉄路集団公司 2,475 km 24時間01分
(1泊2日 九龍行き)
[15]
滬九直通列車 中華人民共和国の旗 上海 香港の旗 香港
(九龍駅)
中華人民共和国の旗 中国鉄路総公司上海鉄路局 1,991 km 18時間41分
(1泊2日 九龍行き)
[15]
ロシアの旗 ロシア ボストーク号 ロシアの旗 モスクワ
ヤロスラフスキー駅
中華人民共和国の旗 北京 ロシアの旗 ロシア鉄道
中華人民共和国の旗 中国鉄路総公司北京鉄路局
8,984 km
満洲里経由)
145時間
(7泊8日 北京行き)
[16]
K3/4次列車 中華人民共和国の旗 北京 ロシアの旗 モスクワ
(ヤロスラフスキー駅)
中華人民共和国の旗 中国鉄路総公司北京鉄路局
モンゴルの旗 モンゴル鉄道
ロシアの旗 ロシア鉄道
7,826 km
モンゴル縦貫鉄道経由)
127時間
(6泊7日 北京行き)
[16]
K7023/7024次列車 ロシアの旗 ウラジオストク
ロシアの旗 ハバロフスク
中華人民共和国の旗 ハルビン東 ロシアの旗 ロシア鉄道
中華人民共和国の旗 中国鉄路総公司ハルビン鉄路局
813 km
(ウラジオストク行き)
1355 km
(ハバロフスク行き)
33時間03分
(2泊3日 ウラジオストク行き)
32時間03分
(2泊3日 ハバロフスク行き)
[16]
モンゴルの旗 モンゴル K23/24次列車 中華人民共和国の旗 北京 モンゴルの旗 ウランバートル 中華人民共和国の旗 中国鉄路総公司北京鉄路局
モンゴルの旗 モンゴル鉄道
1,553 km 26時間58分
(1泊2日 ウランバートル行き)
[17]
4652/4653・4654/4651次列車 中華人民共和国の旗 フフホト モンゴルの旗 ウランバートル 中華人民共和国の旗 中国鉄路総公司フフホト鉄路局
モンゴルの旗 モンゴル鉄道
1,210 km 36時間45分
(2泊3日 ウランバートル行き)
[18]
 カザフスタン K9795/9796次列車 中華人民共和国の旗 ウルムチ南 カザフスタンの旗 アルマトイ 中華人民共和国の旗 中国鉄路総公司ウルムチ鉄路局
カザフスタンの旗 カザフスタン鉄道
1,359 km 33時間42分
(2泊3日 アルマトイ行き)
[19]
K9797/9798次列車 中華人民共和国の旗 ウルムチ南 カザフスタンの旗 ヌルスルタン 中華人民共和国の旗 中国鉄路総公司ウルムチ鉄路局
カザフスタンの旗 カザフスタン鉄道
1,898 km 48時間22分
(2泊3日 アスタナ行き)
[19]
朝鮮民主主義人民共和国の旗 北朝鮮 K27/28次列車 中華人民共和国の旗 北京 朝鮮民主主義人民共和国の旗 平壌 中華人民共和国の旗 中国鉄路総公司北京鉄路局
朝鮮民主主義人民共和国の旗 朝鮮民主主義人民共和国鉄道省
1,364 km 23時間33分
(1泊2日 平壌行き)
[18]
 ベトナム T8701/8702次列車 中華人民共和国の旗 南寧 ベトナムの旗 ハノイ
ザーラム駅
中華人民共和国の旗 中国鉄路総公司南寧鉄路局 396 km 13時間45分
(1泊2日 ハノイ行き)

切符購入

瀋陽北駅 - ハルビン駅寝台列車 (K553) 乗車券
高速鉄道(和諧号)の乗車券
ぼかし部分が氏名とパスポート番号(左は裏面)。「网」とあるのは「網」の中国字でネット予約された乗車券であることを示す。

現在ではオンラインによる座席指定予約制度が導入されている。新システム導入により確実に切符が手に入るようになったかといえば、一方で旅客需要は依然として増加しているため、混雑期は長距離列車などでは切符の売り出し日(一般の列車は発車の4・5日前、直達は20日前)早々に売り切れになることも珍しくない。また中国に市場経済が導入されたとはいえ、鉄道はいまだ計画経済を前提とした国家の所有であるため、駅の切符の販売員(售票員)の販売意欲は日本と比較すると高いとはいえない。以前と比べれば少なくなったが、空席があったとしても「没有」(メイヨウ・座席無し)と窓口でいわれるような場面に、言葉が不自由な外国人相手の場合などで現在でも遭遇することがある。

かつては外国人は専用窓口でしか購入できなかったが、現在は中国人も外国人も同じ窓口である。中国語の会話ができなくても中国字体の筆談で日付・列車番号・区間を書けば入手可能であり、パスポートとメモを一緒に窓口に出すと最も手っ取り早く購入出来る。切符の購入は駅のみならず、街中にある售票処でもできるが、1枚あたり5元の手数料が必要。大きなホテルのフロントで発売できるところもあるが、手数料はもっと高いこともある。ただし、街中にある售票処は手数料がかかるため利用客が少なく、かつ民間委託のため売れば売るほど手数料収入が増えることもあり、外国人にも比較的親切で利用がたやすい。最近では、一部の駅で自動券売機も導入されており、一部の券売機では銀聯カードや支付宝での支払いにも対応している。ただ、自動販売機は切符の売り出し日直後の切符は購入できず、かつ自動販売機の操作を敬遠する人も多いため、窓口の利用者はあまり減っていない。

2011年6月1日より、高速鉄道の乗車券購入時、氏名や身分証番号を登録する「実名制」が導入された。これは、ダフ屋行為を取り締まるためといわれている。そのため、乗車券購入時に身分証の提示が必須となっているため、外国人が購入する場合、事前に旅行会社にパスポートのコピーを送付したり、従来は可能だった自動券売機での購入が一切できなくなり(中国国民の場合、身分証を読み取るための機械が設置されたため購入可能)、窓口に購入が限定されたため不便が生じている。なお、広州(東)-深圳間の広深鉄路においては、動車組列車の自動券売機にパスポート用のスキャナーが増設され、パスポートをスキャンさせることにより、外国人でも自動券売機での乗車券の購入が可能となった。

また、外国人でもユーザー登録することにより中国鉄路のサイト(www.12306.cn)でのネット購入も可能であるが、中国で有効な携帯電話番号、決済口座が必要である。 一方多少の手数料は必要であるが、海外のクレジットカードでも決済できる民間のオンライン予約サイトも登場し、外国人旅行客でも、国外から容易に購入が可能となった。

乗車前までに駅窓口に予約番号と身分証を見せることで切符を発行してもらい乗車することが可能であり、 大きな駅ではネット購入の受取り専用の窓口がある場合もある。 (中国人は新型身分証(二代身分証)を使用して専用の機械で切符を受け取ることも可能) (中国鉄路での購入の場合、切符の発売開始日が駅窓口での発売開始日より2日早く設定されている) ただし、その際の支払いは中国の銀行からのネット決裁または 支付宝での支払いのみであるため、中国の銀行に口座があり、かつネットバンクが使用可能、もしくはな 支付宝が使える環境でないと購入できない。(乗車本人の口座でなくても支払いは可能)

さらに中国人向けのサービスとして、高速鉄道の一部では新型身分証を使用したチケットレスサービスも導入されている。

車両

中国の鉄道車両は、1980年代までは、主要幹線でも蒸気機関車が大々的に使用されていたが、中国初の国産ディーゼル機関車である巨龍型[20][21]に始まってディーゼル機関車の量産化も進み、1990年代に入り、電気機関車の大量導入も行われ、21世紀始めには、主要幹線においては蒸気機関車は過去のものとなった。広大な中国の鉄道は長距離列車、非電化区間が多く地下鉄を除く大都市の普通列車でさえもほとんどが客車であり、広大な国でも電化率が高く動力分散型が多いロシアの鉄道とは対照的であった。しかし一部の幹線は電車気動車を用いて、2007年4月第6回鉄道高速化後、高速動力分散型電車を使うことを始めている。

車両は自国生産のものも多いが、機関車は日本・アメリカ・ヨーロッパなど西側諸国からの輸入も少なくない。モンゴル、ロシア、カザフスタンへ行く国際列車には東ドイツDWAに発注した18系客車中国語版及び19系客車中国語版が使用されている。これらの客車は、他国の車両と直通運転の際に連結されるため、モンゴルや旧ソ連構成国、東ヨーロッパなど東側諸国の車両と類似または同じデザインの車両が使用されている。モンゴル、アルバニア、北朝鮮のような東側諸国やアジア(インド[22]、タイ、シンガポール、マレーシア、イラク、イラン、サウジアラビア、イスラエルなど)・アフリカ(エチオピア、ナイジェリア、ケニア、スーダンなど)・ラテンアメリカ(ブラジル、アルゼンチンなど)といった第三世界諸国だけでなく、アメリカやオーストラリアなど西側諸国にも鉄道車両を輸出している。

車両等級

寝台車
25T系客車中国語版の軟臥車

夜行列車には一部のローカル線を除き、寝台車が連結されている。夜行動車組列車も寝台車がある。

在来線の場合は:

  • 高級軟臥(A寝台。定員1人または2人の個室寝台。一部の路線に限定。室内にトイレとソファーがあり、車両によっては持ち帰り可能のスリッパや歯磨きも置いている。)
  • 軟臥(A寝台 定員4人のコンパートメント寝台)
  • 硬臥(B寝台 3段開放寝台)

また、昆明〜麗江のK9682/K9684、K9686/K9688観光列車と、北京~杭州のT32/T31列車は、一人軟包と言うの個室がある。昆明〜麗江の列車の一人軟包の中に、線路向きのダブルベッドと、枕木方向の二段1人用寝台一つがある。実は最大三人用個室が、切符は1個室1枚で発売する。北京~杭州の列車の一人軟包の中に、枕木方向の1人用寝台一つがあり、椅子と洗面所もある。ただトイレがあらない。

動車組列車の場合は:

  • 高級軟臥(A寝台 定員2人の個室寝台。一部の路線に限定。室内にソファーがあり、車両によっては持ち帰り可能のスリッパや歯磨きも置いている。)
  • 軟臥(A寝台 定員4人のコンパートメント寝台)

寝台には下鋪、中鋪、上鋪(下段、中段、上段)があり、下鋪の運賃が若干高い。乗車後に身分証明書を提示して、氏名などの記録が行われる。

高級軟臥(普段は高包と呼ぶ)や軟臥には部屋に扉がついており、内側から鍵がかかる。席単位も部屋単位も購入は可能。定員丁度のグループで使用する時は事実上の個室となるが、定員以下で使用する時は、相部屋となることがある。室内の全員が食堂車などに行く時に係員に申告すれば外側から鍵を掛けてもらうことができる。高包や一部の1等寝台の場合は車掌の他に女性アテンダントがおり、乗車直後に部屋に挨拶にやって来る。

すべての高包や一部の軟臥、硬臥にはコンセントが付いているため、電気機器の充電に利用できる。

切符は各車両に乗務する乗務員が各乗客の下車駅を把握して案内し、乗客の寝過ごしを防止するため、係員が下車直前まで預かり乗客が下車する駅が近くなると返却される。乗車中は代わりに座席・寝台番号が書かれた預り証を渡されるので、各乗客はそれを切符の代わりとして携帯する。食堂車を越えて座席車側に入り、再び寝台車側に戻ろうとする時に預り証がないと、食堂車の係員に制止されることがある。

硬臥以外は、枕、シーツ、毛布が備え付けられている。コンパートメントごとに熱湯の入ったポットが置いてある。硬臥は消灯時間が決められている。

座席車
22B系客車中国語版の硬座車

在来線の場合は:

  • 軟座(グリーン車全席指定)
  • 硬座(普通車)
  • 無座(硬座立ち席券 乗車後、空席があれば、軟座、硬臥などに変更可能)

元の北京-天津、上海-南京などの都市間列車は、特等軟座・一等軟座・二等軟座の3等級制の車両がある。都市連絡の任務を動車組列車に譲りの後に、一部は他の線区に転出した。場合により、全て軟座に統一、二等は硬座に格下、または一等・二等のまま使用のケースがある。

動車組列車の場合は:

  • 商務座・観光座(グランクラス)
  • 一等座(グリーン車全席指定)
  • 二等座(普通車)

他に空調設備の有無で料金に格差がある。これは、空調の使用の有無に関係がない。空調車は座席などの設備も良いための運賃差とされているため、春秋などの空調不使用時でも新空調車料金と称する運賃となる。一例をあげると、北京 - 上海間であれば、特快の高級軟臥と普快の硬座では10倍以上もの運賃・料金格差を生じる。

食堂車

食堂車のメニュー

現在でも多くの長距離列車に食堂車が連結されている。料理の量が少ない割に価格設定が高いため、硬座や硬臥の乗客はほとんど使用しないが、食堂車の料理人が調製する弁当の人気は高い。そのため利用客は少ないが、それでもほとんどの長距離列車に連結されているのは、弁当調製所と乗務員の食事場所の意味合いもあるためである。時間帯によっては乗客よりも乗務員の利用の方が多いこともある。ほとんどの長距離列車には1両だけの連結であるが、比較的豊かな都市部からの観光客や外国人利用者が多い蘭州と敦煌を結ぶ旅游列車「敦煌号」のように3両の食堂車(高級食堂車、普通食堂車、喫茶・バー車)が連結されている列車もある。

主な路線一覧

八縦八横(重点路線)

重点的に国家が整備を行う「八つの縦断と八つの横断」鉄道である。

八縦(中国大陸の南北を結ぶ主な線)

八横(中国大陸の東西を結ぶ主な線)