感染症 | |
---|---|
![]() マラリア原虫の電子顕微鏡写真 | |
分類および外部参照情報 | |
診療科・ 学術分野 | 感染症学 |
ICD-10 | A00-B99 |
DiseasesDB | 28832 |
順位 | 死因 | DALYs (万) | DALYs(%) | DALYs (10万人当たり) |
---|---|---|---|---|
1 | 虚血性心疾患 | 20,370.0 | 7.6 | 2,730 |
2 | 脳卒中 | 13,794.1 | 5.2 | 1,849 |
3 | 下気道感染症 | 12,969.0 | 4.9 | 1,738 |
4 | 早産の合併症 | 10,139.7 | 3.8 | 1,359 |
5 | 交通事故 | 8,253.8 | 3.1 | 1,106 |
6 | 下痢性疾患 | 8,174.3 | 3.1 | 1,095 |
7 | COPD | 7,251.2 | 2.7 | 972 |
8 | 糖尿病 | 6,566.6 | 2.5 | 880 |
9 | 出生時仮死出生外傷 | 6,392.8 | 2.4 | 857 |
10 | 先天異常 | 6,298.0 | 2.4 | 844 |
11 | HIV / AIDS | 5,995.1 | 2.2 | 803 |
12 | 結核 | 5,164.3 | 1.9 | 692 |
13 | 背中と首の痛み | 4,751.5 | 1.8 | 637 |
14 | 成人発症性の難聴 | 4,735.2 | 1.8 | 635 |
15 | 肝硬変 | 4,528.7 | 1.7 | 607 |
16 | うつ病性障害 | 4,417.5 | 1.7 | 592 |
17 | 気管、気管支、肺がん | 4,112.1 | 1.5 | 551 |
18 | 腎臓病 | 3,907.9 | 1.5 | 524 |
19 | 新生児の感染症など | 3,900.9 | 1.5 | 523 |
20 | 墜死 | 3,816.2 | 1.4 | 511 |
感染症(かんせんしょう、英語: Infectious disease、スペイン語: Infección)とは、寄生虫・細菌・真菌・ウイルス・異常プリオンによる病原体の感染により、宿主に生じる病気の総称。感染症は体内に微生物が侵入し、増殖することでおこる[2]。感染症を対象とする医学領域は感染症学である[3]。
感染症のうち、伝染性(ヒトや動物から他のヒトや動物へと次々に病気がうつる)をもつものを伝染病と言い、集団発生して流行する伝染病を疫病と言う。瘟疫(うんえき、おんえき)、疫癘(えきれい)とも言う(瘟、疫、癘ともに「はやりやまい」の意)。
感染症の歴史は生物の発生と共にあり、有史以前から近代までヒトの病気の大部分を占めてきた。医学史は感染症の歴史に始まったと言っても過言ではない。1929年に初の抗生物質であるペニシリンが発明されるまで根本的な治療法はなく、伝染病は大きな災害と捉えられてきた。特に三大感染症[4]と呼ばれるマラリア・結核・AIDSや、腸管感染症は開発途上国で大きな問題であり、感染症学のみならず保健学・開発学など集学的な対策が喫緊の課題である。
感染症の治療に使われる薬には、抗生物質、抗ウイルス薬、抗真菌薬、抗原虫薬、駆虫薬などがある。2013年において、世界では感染症により920万人が死亡しており、全死亡の約17%を占める[5]。先進国においては新興感染症・再興感染症に加えて、多剤耐性菌の蔓延やバイオテロの脅威が公衆衛生上の大きな課題として注目を集める一方、高度医療の発達に伴って手術後の患者や免疫抑制状態の患者における日和見感染が増加するなど、日常的にもまだまだ解決に向かっているとは言えない。
感染症法による。
感染症は痛み・発熱などを契機に気付かれることが多いが、これらの症状はまた腫瘍やアレルギーなど感染以外によっても惹き起こされるため、診断学を踏まえた問診や身体診察により適切に鑑別を絞り込むことによって、必要十分な検査による診断が可能となる。
身体診察による診断の例として、蜂巣炎での皮膚発赤のように視診で気付かれるもの、気管支炎での呼吸器雑音など聴診で気付かれるもの、虫垂炎でのMcBurney圧痛点や腸腰菌膿瘍におけるPsoas signやObturator signなど触診で気付かれるものがある。
感染症の多くは安静・休養・栄養・水分補給による免疫力の回復、あるいは体位ドレナージによる排痰促進や利尿などの補助療法を通じて自然に治癒するが、先進諸国においては治癒を早めたり、徹底したり、後遺症を予防したりする目的でしばしば抗生物質/抗菌薬による化学療法 (細菌)や、抗ウイルス治療が併用される。また、局所感染においては切開排膿やドレナージといった外科的治療が併用される。敗血症・ショック・全身性炎症反応症候群(SIRS)などを合併する重症感染症においては、ときに抗体製剤や血漿交換を併用する。
感染症に関する法律には以下のようなものがある。
2010年には、約1000万人が感染症で死亡している[9]。WHOは感染症による死者をICD分類で集計しており、2002年についてのデータを以下に示す。
順位 | 死因 | 2002年の死者 (百万) |
死因に占める割合(%) | 1993年の死者 (百万) |
1993年の順位 |
---|---|---|---|---|---|
N/A | 感染症すべて | 14.7 | 25.9% | 16.4 | 32.2% |
1 | 下気道感染症[12] | 3.9 | 6.9% | 4.1 | 1 |
2 | HIV/AIDS | 2.8 | 4.9% | 0.7 | 7 |
3 | 感染性下痢[13] | 1.8 | 3.2% | 3.0 | 2 |
4 | 結核 (TB) | 1.6 | 2.7% | 2.7 | 3 |
5 | マラリア | 1.3 | 2.2% | 2.0 | 4 |
6 | 麻疹 | 0.6 | 1.1% | 1.1 | 5 |
7 | 百日咳 | 0.29 | 0.5% | 0.36 | 7 |
8 | 破傷風 | 0.21 | 0.4% | 0.15 | 12 |
9 | 髄膜炎 | 0.17 | 0.3% | 0.25 | 8 |
10 | 梅毒 | 0.16 | 0.3% | 0.19 | 11 |
11 | B型肝炎 | 0.10 | 0.2% | 0.93 | 6 |
12-17 | 熱帯病 (6)[14] | 0.13 | 0.2% | 0.53 | 9, 10, 16–18 |
三大死因はHIV/AIDS、結核、マラリアである。感染症による死亡はほぼすべて減少しているが、しかしHIVによる死者は4倍に増加している。
この節の
一部の感染症は非感染性疾患の発症に強い関連を持つことが、近年明らかになりつつある。
|