感染症
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診療科・
学術分野
感染症学
ICD-10 A00-B99
DiseasesDB 28832
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感染症(かんせんしょう、英語: Infectious diseaseスペイン語: Infección)とは、感染する病気の総称であり、寄生虫細菌真菌ウイルス異常プリオンなどの病原体の感染により宿主に生じる病気の総称。

感染症体内に微生物が侵入し、増殖することでおこる[1]

感染症のうち、伝染性(ヒトや動物から他のヒトや動物へと次々に病気がうつる)をもつものを伝染病と言い、集団発生して流行する伝染病を疫病と言う。瘟疫(うんえき、おんえき)、疫癘(えきれい)とも言う(瘟、疫、癘ともに「はやりやまい」の意)。

感染症の歴史生物の発生と共にあり、先史時代(有史以前)から近代までヒトの病気の大部分を占めてきた。医学史は感染症の歴史に始まったと言っても過言ではない。人類の歴史を通して根本的な治療法が全く無かった時代が圧倒的に長く、伝染病は大きな災害と捉えられてきた。古今東西の歴史書には頻繁に疫病の記述が登場する。ペストの大流行はヨーロッパの人口の数分の1ほどを死に至らしめ、人類の文明のありかたを変えたとも言われているし、20世紀初期に全世界で大流行したスペイン風邪もおそらく1億人以上の人が死亡したと推計されており世界情勢に影響を与えた。

1929年にようやく初の西洋医学的な抗生物質であるペニシリンが発明されたが、そうした抗生物質類で治療できるのは感染症のごくごく一部にすぎない。

現代では、開発途上国では特に三大感染症[2]と呼ばれるマラリア結核AIDSや、腸管感染症は大きな問題であり、感染症学のみならず保健学開発学など集学的な対策が喫緊の課題である。2013年においても、世界では感染症により920万人が死亡しており、全死亡の約17%を占める[3]。一方先進国においては新興感染症再興感染症に加えて、多剤耐性菌の蔓延やバイオテロの脅威が公衆衛生上の大きな課題として注目を集める一方、高度医療の発達に伴って手術後の患者や免疫抑制状態の患者における日和見感染が増加するなど、日常的にもまだまだ解決に向かっているとは言えなかった。さらに2019年(~2021年)新型コロナウイルス感染症の世界的流行 (2019年-)が起き、先進国でも発展途上国でも、非常に多数の人々が感染し死亡しつづけている(2021年5月29日時点で世界累計感染者数1.72億人、死亡者数370万人超[4]と推計されている。)。

感染症を対象とする医学領域は感染症学である[5]

感染症には有効な治療薬が無いものも多いが、現在のところ感染症の治療に使われる薬には、抗生物質抗ウイルス薬抗真菌薬抗原虫薬駆虫薬などがある。ワクチン予防が行える感染症も一部にあるが、ワクチンの開発に成功していないものも多い。

分類

感染場所による分類

脳など中枢神経
髄膜炎脳炎など
鼻炎副鼻腔炎咽頭炎喉頭炎眼窩蜂窩織炎など
喉頭蓋炎咽頭後壁膿瘍亜急性甲状腺炎レミエール症候群など
肺・気管支
肺炎気管支炎結核など
心臓・血管
感染性心内膜炎心外膜炎心筋炎感染性大動脈炎敗血症など
腹部・消化器
胆嚢炎胆管炎肝炎肝膿瘍膵炎脾膿瘍胃炎胃潰瘍腸炎虫垂炎腸腰筋膿瘍クラミジア肝周囲炎など
泌尿器
腎盂腎炎膀胱炎前立腺炎膣炎骨盤内感染症など
皮膚
蜂窩織炎脂肪織炎ガス壊疽(せつ)、(よう)、伝染性膿痂疹(とびひ)、ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群帯状疱疹水痘麻疹風疹、皮膚白癬疥癬など
関節、筋肉、骨
感染性関節炎骨髄炎筋膜炎筋炎脊椎カリエスなど
リンパ節
リンパ節炎
口腔
真正細菌感染症
レンサ球菌(A群β溶連菌、肺炎球菌など)、黄色ブドウ球菌(メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA))、表皮ブドウ球菌腸球菌リステリア髄膜炎菌淋菌病原性大腸菌(O157:H7など)、クレブシエラ肺炎桿菌)、プロテウス菌百日咳菌緑膿菌セラチア菌シトロバクターアシネトバクターエンテロバクターマイコプラズマクロストリジウムなどによる各種感染症
結核非結核性抗酸菌コレラペストジフテリア赤痢猩紅熱炭疽梅毒破傷風ハンセン病レジオネラ肺炎在郷軍人病)、レプトスピラ症サルモネラ菌腸チフスパラチフスライム病野兎病Q熱など
発疹チフスツツガムシ病日本紅斑熱など
クラミジア肺炎トラコーマ性器クラミジア感染症オウム病など
真菌感染症
アスペルギルス症カンジダ症クリプトコッカス症白癬菌症ヒストプラズマ症ニューモシスチス肺炎(旧名:カリニ肺炎)など
寄生原虫感染症
アメーバ赤痢マラリアトキソプラズマ症リーシュマニア症クリプトスポリジウムなど
寄生蠕虫感染症
エキノコックス症日本住血吸虫症フィラリア症回虫症広節裂頭条虫症など
ウイルス感染症
インフルエンザウイルス性肺炎ウイルス性肝炎ウイルス性髄膜炎ウイルス性胃腸炎ウイルス性結膜炎後天性免疫不全症候群 (AIDS)、成人T細胞白血病エボラ出血熱黄熱風邪症候群、狂犬病サイトメガロウイルス感染症、重症急性呼吸器症候群 (SARS) 、中東呼吸器症候群 (MERS) 、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 、新型ブニヤウイルス重症熱性血小板減少症候群進行性多巣性白質脳症水痘帯状疱疹単純疱疹手足口病デング熱ジカ熱日本脳炎伝染性紅斑伝染性単核球症天然痘風疹急性灰白髄炎ポリオ)、麻疹咽頭結膜熱(プール熱)、マールブルグ出血熱腎症候性出血熱ラッサ熱流行性耳下腺炎ウエストナイル熱ヘルパンギーナチクングニア熱など
プリオン病 / 伝達性海綿状脳症
牛海綿状脳症 (BSE)、クールー病クロイツフェルト・ヤコブ病致死性家族性不眠症 (FFI)、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群 (GSS) など

病態からの分類

一次感染と二次感染
最初の病原体による感染を一次感染、続いて別の病原体による感染を二次感染という。また、同一宿主に2種類以上の病原菌によって感染が起こることを混合感染という。二次感染の一例として、一次感染を抗生物質で排除してもその抗生物質抵抗性の常在菌が異常増殖を起こす菌交代現象がある。
局所感染と全身感染
病原体が侵入・定着部位に限局して病変を起こす場合を局所感染という。この病原体が血行性など全身に広がって症状が出た場合を全身感染という。
持続感染と不顕性感染と潜伏感染