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むらさき
 
16進表記 #6F00FF
RGB (167, 87, 168)
CMYK (28, 66, 0, 0)
HSV (299°, 48%, 66%)
マンセル値 0.3RP 4.8/12.2
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紫色の水晶、アメシスト
セイヨウスモモ

(むらさき)は、純色の一種。の間色であり、典型的な紫はよりやや赤寄り。紫色(むらさきいろ、ししょく)は同義語英語ではパープル (purple) といい、菫色(すみれいろ、きんしょく)、バイオレット (violet) を紫に含む場合もある。古英語ではパーピュア (purpure) といい、紋章学で用いる。七色黄色・紫)のうち、光の波長が最も短い(380〜430nm)。これより波長が短いものを紫外線という。

名前の由来

「紫」の原義は色の「むらさき」、あるいは一説に、紫色に染めただという[1]

この漢字で草本の「むらさき」を意味するのは国訓であり、本来は「紫草」の形でしかその意味はない。なお漢籍に書かれた「紫草」は別種だという説もあるが、現代中国語では「むらさき」と同種である[2]

ムラサキ

「ムラサキ」はもともと紫草という植物の和名であり、この植物の根(紫根)を染料にしたことから、これにより染色された色も「ムラサキ」と呼ぶようになった。この名称自体は、ムラサキが群生する植物であるため、『群(むら)』+『咲き』と呼ばれるようになったとされる[3]。古来この色は気品の高く神秘的な色と見られた。また紫草の栽培が当時の技術では困難だったために珍重され、古代中国(代以降 - 時代が下ると黄色に変った)、律令時代の日本などでは、紫は高位を表す色とされ、主に皇族やそれに連なる者にしか使用を許されなかった。

枕草子』の冒頭、「少し明りてむらさきだちたる雲の細くたなびきたる」という箇所は『紫色の雲』という意味と、『群がって咲く(ムラサキの)花のような』という両方の意味があるともされる。なお、ムラサキの花は白色である。

パープル (purple)

「紫色」の英語に相当する語句が"purple"である。もともとこの単語は、巻貝の一種"purpura"(ラテン語、プールプラ)に由来する。この巻貝の出す分泌液が染色の原料とされ、結果としてできた色もpurpuraと呼ばれた。この染色法を発明したのは現代のイスラエルレバノンの地域に住んでいた古代のカナーン人であるといわれる。巻貝1個から出る分泌液はわずかであったため、この染色布が貴重なものであり、ローマ帝国の頃より西洋では高貴な身分の者が身に着けていた。この染色によって彩られた紫は若干赤みがかっていたようである。詳しくは貝紫色を参照。

また、英語の"purple"は、紅みがかった紫を指す語で、日本で言う所の京紫である。また、"purple"は、紫と紅の両義を含める場合がある。例えば、怒って顔を紅くする様相を、英語では"turn purple with rage"と表現する。細菌学においても、"purple" は「紫」ではなく "red"(紅)を指す。紅色細菌 (purple bacteria) などの例がある。

バイオレット (violet)

「紫色」を指すことがあり、しばしばパープル (purple) に代わって、基本色としての紫を指す単語として使われる。なお、アイザック・ニュートンの定義によるの7色のうち、最も短波長側の色である紫は英語では"violet"であり、"purple"ではない。この"violet"は本来スミレを意味する単語であり、菫色(すみれいろ)と訳すのが正確である。パープルは赤味の強い紫(マゼンタ)なのに対し、バイオレットは青味の強い紫であり、日本語江戸紫に似ている。

派生色

マゼンタ (webcolor)
  16進表記 #DA508F
青紫 (webcolor)
  16進表記 #7445AA
深紫 (webcolor)
  16進表記 #493759
浅紫 (webcolor)
  16進表記 #C4A3BF
  • マゼンタ - 紅と紫の中間色。
  • 赤紫
  • 青紫
  • 深紫 - 黒っぽい紫。日本の律令制で規定。
  • 浅紫 - 赤みをおびた薄い紫。日本の律令制で規定。
  • 本紫
  • 偽紫
  • 京紫 - わずかに赤味を帯びた紫
  • 江戸紫 - 青味を帯びた紫
  • 古代紫 -くすんだ紫
  • 貝紫 - 螺などの貝から取った染料で染めた紫
  • purple (webcolor)
      16進表記 #800080
    mediumpurple (webcolor)
      16進表記 #9370DB
    violet (webcolor)
      16進表記 #EE82EE
    mediumvioletred (webcolor)
      16進表記 #C71585
    fuchsia (webcolor)
      16進表記 #FF00FF
    magenta (webcolor)
      16進表記 #FF00FF

    紫は一般に可視光波長のうち最小波長である、およそ380〜430nmの波長の色として知覚される。

    ウェブカラーでは基本16色として"purple"が定義されており、色を指定する際にpurpleと入力すると16進数表記にして#800080の色(濃い紫)が表示される(右図)。

    派生色としては"violet"やマゼンタ"magenta"などが定義されている。これらは、フクシャ"fuchsia"を除けば基本16色として定義されておらず、すべてのブラウザで正しく発色される保証はされていない。"magenta"と"fuchsia"は同色として定義されてはいるが、"magenta"は基本16色ではない。


    物体色としての紫

    JIS慣用色名
      マンセル値 7.5P 5/12
    パープルJIS慣用色名
      マンセル値 7.5P 5/12
    菫色JIS慣用色名
      マンセル値 2.5P 4/11
    バイオレットJIS慣用色名
      マンセル値 2.5P 4/11
    藤色JIS慣用色名
      マンセル値 10PB 6.5/6.5

    紫は代表的な色ではあるが、赤と青の絵具を混ぜ合わせてもつくることができる(その場合は、やや黒っぽい色調になる)。

    JISでは、紫とパープルが慣用色名として右表のように、両者が同色として定義されている。またそれとは別個に、菫色やバイオレットが同色として定義されていることがある。

    また、JIS慣用色名では、赤紫や青紫の色が次のように定義されている。

    赤紫JIS慣用色名
      マンセル値 5RP 5.5/13
    青紫JIS慣用色名
      マンセル値 2.5P 4/14

    ほかにも近似色はいろいろ定義されている。詳しくはJIS慣用色名を参照。

    紫の色料

    顔料

    無機顔料

    酸化鉄紫 mars violet
    黄味の乏しい暗種の酸化鉄赤のこと。天然にも存在し、日本では紫土(シド)として産する。近年では、1975年昭和50年)の法輪寺の三重塔再建に際し、彩色に用いられた。
    紫群青 ultramarine violet
    赤味の強い色目の合成ウルトラマリンのことである。
    マンガン紫 manganese violet
    1868年ニュルンベルクで初めて製造された。極めて堅牢な顔料であり、水分にさらされない環境下での保存においては信頼性が高い。さまざまな異名がある。
    コバルト紫 cobalt violet
    砒酸コバルト、燐酸コバルト、コバルト-リチウム-燐 酸化物固熔体、含水燐酸アンモニウムコバルト、ホウ酸コバルトなどがある。いずれも粗粒で着色力に乏しい。また色がやや淡い。極めて高価な顔料である。また、一部では燐酸コバルト八水和物も顔料として使用されるが、安定性を欠くため好ましくない。

    有機顔料

    インジゴイド系紫
    キナクリドン系紫
    オキサジン系紫
    アントラキノン系紫
    カルボニウム系紫
    キサンテン系紫

    染料

    天然染料

    紫色およびその類縁色(特に赤紫)の色素を持つ天然の色材の中には、染料や食品の着色料などに利用されるものに以下のものがある。これらの中には、溶液のpHによって大きく変色する性質があるために、pH指示薬として利用されているものもある。

    紫草の根

    ムラサキの根は紫根(しこん)と呼ばれ、これを乾燥して粉末状にした上で湯に溶かして色素を抽出し、生地に灰汁による媒染を数十回施してようやく染物が完成する。紫根の持つ紫色の色素は、この植物から名を取ってシコニン (Shikonin) と命名されている。もともとムラサキが栽培困難なうえ、染色に手間暇がかかるため、紫根による染物は高価である。

    なお、紫根は傷の殺菌作用などを持つために、漢方では生薬としても利用されている。

    紫貝(パープル)

    前述のとおり、巻貝の鰓下腺から出た分泌液が染料の原料とされた。この分泌物は、巻貝が外敵を退けるときに分泌する、強烈な臭いを持つ粘液であるが、この粘液が酸化されると鮮やかな紫色を発色することにより、染料として使われるようになった。なお、この色素は現在、臭化化合物の6,6'-ジブロモインディゴであることが分かっている(インディゴを参照)。

    巻貝1個から採取できる粘液は微量であるため、服1着の染色には巻貝数千から数万個を必要とした。中世地中海では染色目的による巻貝の乱獲が進み、大航海時代に入る頃には巻貝が激減し、貝による紫染色は廃れていった。

    一方、マヤ文明のあったユカタン半島地方の西、現在のメキシコ南部のオアハカ地方でも、別種の巻貝の分泌液を染料とする同様の染色が伝統的に行われている。ここでは巻貝から分泌液を採取した後巻貝を海に戻したため、巻貝の個体数はあまり減っておらず、現在でもこの染色法は行われている。

    紫キャベツ(赤キャベツ)

    紫キャベツ(赤キャベツ)の持つ紫色の色素はアントシアニン (anthocyanin) である("cyan" とあるが、シアン化物ではない)。この色素の水溶液は、強酸性下でマゼンタに近い鮮やかな赤紫色、弱酸性下で薄赤紫色、中性下で紫〜青紫色、弱塩基性下で青緑色、強塩基性下で黄色を示す。このように水溶液の色が変化するため、pH指示薬として利用できる。また、酸性下で鮮やかな赤紫色を発色するため、食品への着色料として用いられることが多い。食品の原材料名には「紫キャベツ色素」「アントシアニン色素」などさまざまな呼称で明記されている。

    アントシアニンは紫キャベツの葉のみならず、黒豆ブルーベリーアサガオ花弁など多くの植物に含まれている。アジサイの花弁にも含まれており、土壌のpHやアルミニウムイオン濃度などによって花弁の色は異なる。

    この色素の溶液は、紫キャベツの葉やアサガオの花弁などを60℃程度の蒸留水または無水アルコールに30分ほど浸すと得られる。そしてこの溶液はそのままpH指示薬として利用できる。

    コチニール
    カルミン酸の構造式

    北米大陸、メキシコの古代アステカ文明のあったあたりでは、コチニールカイガラムシと呼ばれる、ウチワサボテンに寄生する虫から色素を抽出して、赤紫色に染色することが伝統的に行われている。コチニールカイガラムシはエンジムシとも呼ばれており、この虫のメスを乾燥して抽出した色素はコチニール色素と呼ばれる(虫の生態についてはカイガラムシを参照のこと)。

    コチニール色素の実態はカルミン酸であり、この物質の水溶液は、酸性下で黄〜橙、中性で紅赤色、弱塩基性で赤紫、強塩基性で紫に変色する。そのためpH指示薬として利用できる。この色素は、化粧品や食品、医薬品の着色料として利用されている。カンパリの色素でもある。赤色顔料として絵具などにも使われている。

    ただ、カイガラムシによる染色はアメリカ大陸のみで行われていたわけではなく、カイガラムシの別種 "en:Kermes vermilio" による紅色の染色が地中海一帯やアナトリアにて古くから行われており、ヨーロッパやイスラム世界に広まっていた。このカイガラムシは樫の木の一種ケルメス・オーク (Kermes oak) に寄生する虫であり、この虫から採取された色素の色は Kermes にちなんでクリムソンカーミン(カーマイン、カルミン)と呼ばれ(これに相当する日本語の色名としてえんじ色がある)、色素の物質名(カルミン酸)にもなった。西洋世界では紫色よりもむしろ紅色系の染色として使用されてきた。今日では、アカネ色素の研究により発明された合成染料アリザリンや、Kermes vermilio よりも効率の良いコチニールの生産方法の存在により、かつてほどには使用されていない。

    なお、細胞核や染色体を染色するための薬品として、この色素を利用した酢酸カーミン溶液がある。

    人工染料

    1856年に発明された、世界初の合成染料である。これはアニリン染料の一種であり、この色素はモーベイン (Mauveine) と命名された。「モーブ」(mauve) はフランス語、特にゼニアオイ (en:Malva) を意味する。

    この発明は、特にイギリスではニュースとなった。パープル貝の分泌液などきわめて高価な天然染料しかなかった発明当時、高級な色とされたものをより安価で染色できるようになったからである。間もなく別の赤紫系合成染料フクシン(後述)が発明されたため、合成染色市場を独占するほどには至らなかったが、この色の服は流行し、合成染色事業は大成功を収めた。

    現在では染料としては他の合成染料が用いられていることが多く、この名は色名として用いられる(モーブ (色)を参照)。

    モーブに続いて、1859年に発明・発表された色素である。フランスの実業家ルナール・フレール (Renard Frères) の専属化学者ヴェルガンにより発明された。このアニリン系色素は固形では緑色をしているが、熱湯やエタノールに溶解させると赤紫色に変化する。さらに少量のアルデヒドを加えると紫色になる。マゼンタの染料・顔料に使われる。

    現在ではこの色素による赤紫や紫色の染色が行われるほか、印刷インクや、実験観察のための細胞の染色やアルデヒドなどの分析試薬にも用いられる。

    この鮮やかな赤紫色を発色する色素は、フクシアの花の鮮やかな赤紫色に見立ててフクシンと名づけられた。これは、フクシアの命名のもととなったドイツ植物学者フックス (en:Leonhart Fuchs) の単語の意味がドイツ語で「キツネ」 (Fuchs) であることと、実業家ルナールのフランス語での意味もまたキツネ (renard) であることをなぞらえた命名でもある。

    フクシンによって発色される色はフクシャとも、マゼンタとも呼ばれる。この色素による染色が発売された1859年、イタリアとフランスの連合軍がオーストリア=ハンガリー帝国軍を破る戦争が起きていた(マジェンタの戦い)。色名は、この戦いの最後の戦勝地マジェンタ (Magenta) を記念して名づけられたものである。

    なお、この年とほぼ同じく、イギリスでドイツの化学者ホフマンにより同系統のアニリン赤色素・ローズアニリン (rosaniline) が発明されている。この色素も、マゼンタ色として使用される。

    紫の文化

    階級に関する文化

    技術が未熟な時代は紫の染料を出すのは莫大なお金がかかることから、古今東西関係なく、紫は高貴な色として共通の文化であった。

    中国
    古代中国の五行思想では正色(青、赤、黄、白、黒)を最上とし、中間色である紫はそれより下位の五間色に位置づけた。『論語』にある儒教の開祖孔子の言葉に「紫の朱を奪うを悪(にく)む」というものがある[4]
    紫を尊んだのは道教で、天にあって天帝の住まうところを紫宮・紫微垣などと呼んだ。南北朝時代に紫の地位は上昇し、五色の上に立つ高貴な色とされた。大業元年(605年)に服色に身分差を設けたとき、五品以上の高官に朱か紫の服を着せ[5]、6年(610年)には五品以上を紫だけにした[6]。高官だけでなく、道教の道士仏教僧侶の中の高徳者にも紫衣を許し、これが代にも継承された。
    日本
    日本では推古天皇16年(608年)に隋使裴世清を朝庭に迎えたとき、皇子・諸王・諸臣の衣服が「錦・紫・繍・織と五色の綾羅」であった、とするのが紫の初見である[7]。これより先、推古天皇11年(604年)制定の冠位十二階の最上位(大徳小徳)の冠が紫だったとする学説があるが、史料には記されず、確証はない[8]皇極天皇2年(643年)に蘇我蝦夷が私的に紫冠を子の入鹿に授けたことから、大臣の冠が紫であったことが知られる[9]大化3年(647年)の七色十三階冠以降の服色規定では、紫を深紫(または黒紫)と浅紫(または赤紫)の2色に分け、深紫(黒紫)をより高貴な色とした[10]。道教が正式に受容されなかった日本では、高徳の僧侶に対して紫衣が許された(紫衣事件を参照)。
    ローマ
    紀元前1600年から使用された染料貝紫色(英名:ロイヤルパープル)は、ローマ帝国などでは特権階級にふさわしい色とされた。
    東ローマ帝国
    「皇帝の子であること」を示すポルフュロゲネトス(Porphyrogennetos、「紫の生れの者」の意)の紫も、当時希少で高価であった貝紫色から来ている。この語は6世紀から使われていたとされるが、846年まで言葉が使用された例は見つかっていないのは確かである[11]
    この語は英語の慣用句、"born in the purple"(王家(帝室)の生まれ)の語源ともなっている
    • タイでは、未亡人が朝に紫の服を着る風習がある。未亡人が着る服という事でタブー視されていたが、現在はタイ王室の一人に紫好きがいたといった影響で、ほとんど気にされない