英語
English
発音 IPA: ['ɪŋɡlɪʃ] 
話される国 イギリスアメリカ合衆国カナダオーストラリアニュージーランドアイルランド南アフリカ共和国フィリピンシンガポールなど多数 (約80の国・地域)
地域 主として西ヨーロッパ北ヨーロッパ東南アジア北アメリカオセアニア西インド諸島の一部など
話者数 約3億3500万人[1]
話者数の順位 2-3(第二公用語含む)
言語系統
公的地位
公用語 英語圏を参照
統制機関 なし
言語コード
ISO 639-1 en
ISO 639-2 eng
ISO 639-3 eng
SIL ENG
English language distribution.svg
  公用語が英語で、母国語も英語である割合が最も高い地域
  公用語が英語であるが、母国語は英語以外である割合が最も高い地域
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英語(えいご、英: English (読み方: イングリッシュ) , : Anglica)は、インド・ヨーロッパ語族アングロ・フリジア語群に属し、イギリスイングランド地方を発祥とする言語である。

「英語」という呼称

EN:英語の言語コード ISO 639-1、シンボリックフラグ

「英語」の「英」はイギリスの漢字表記「英吉利」、もしくはイングランドの漢字表記「英格蘭」に由来する(「英吉利」(ピン音:Yīngjílì)、「英格蘭」(ピン音:Yīnggélán)とも表記自体は先行する中国語に倣ったものであり、現代の中国語でも「英吉利海峡」などの語に残っている)。

同じような成立の略語に「仏語」(仏蘭西語)、「独語」(独逸語)、「西語」(西班牙語)などがあるが、現代日本では「フランス語」、「ドイツ語」、「スペイン語」といった呼称が普及している。一方で英語は古くに「英吉利語」(イギリス語)[2]という呼称もあったがすでに廃れており「英語」という呼称のみが普及している。英語は大英帝国の旧植民地では、それぞれ独立後も公用語もしくはそれに準ずる形で広く使われている。アメリカ合衆国はその中でも人口・経済および、軍事力で大国となり、米国で話される英語米語とも呼ばれる[3]

文字

英語は通常ラテン文字によって記述され、以下の26文字を用いる。

A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T U V W X Y Z
a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z

ヨーロッパの他の多くの言語と異なり、外来語(およびその転写)を除いてダイアクリティカルマークはほとんど用いない。

手書き時はアルファベットが連なる筆記体が以前は主流だったが、現在は署名(サイン)など独自性を追求される場合を除いて、読みやすさなどの観点からブロック体が主流である。

英語においては多くの文字が複数の発音を持っていて、綴りと実際の発音の食い違いも大きい。

発音

英語の発音と綴りの間の関係は他のヨーロッパの言語と比べると一貫性に乏しい。これは主に中英語時代である15世紀初頭に始まり、近代英語初期である17世紀初頭に終わった大母音推移という現象が関係する。それ以前は「name」はナーメ、「time」はティーメと綴り通りに発音されていたが、後にネイムやタイムという発音に変化した。その一方で同時期、活版印刷の発達とロンドン英語の普及の中で、英語の標準化を目指す動きが辞書編纂などの形で進んだが、当時は表音主義よりも伝統主義・語源主義の方が優勢で、古い発音に基づく綴りが固定化してしまった。またラテン語をはじめとした他のヨーロッパ系言語からの借用語も、表音主義的な綴りよりも語源的綴字が用いられた。[4] 日本語における歴史的仮名遣と同様、以下に述べるような発音規則がある程度成り立つが(フォニックス)、頻出語彙を中心として例外も多く(have、come、who など)、現在まで英語学習者を悩ませている。

母音字 a に関わる発音
  • a
    • 強勢があるときには/æ/。ただしその後に子音+eとなる場合や開音節の場合は/eɪ/と二重母音化する。
      例:fat /fæt/, make /meɪk/, nation/ˈneɪʃən/
    • 強勢がない場合は曖昧母音。
      例:adamant /ædəmənt/ En-us-adamant.ogg 聞く[ヘルプ/ファイル]
  • ai
    例:mail /meɪl/ Mail.ogg 聞く[ヘルプ/ファイル]
  • al/ɔː/ またロマンス系単語の形容詞系としてのalは/əl/
    例:all /ɔːl/, talk /tɔːk/, national /ˈnæʃnəl/
  • au/ɔː/

英語における「ひとつの音」という認識単位は音節である。たとえば楽譜では、音符(またはスラーでつながった音符群)ひとつに音節ひとつが乗る。アクセントのある開音節は長母音または二重母音である。冠詞の thea はアクセントがない場合に短母音の開音節であるが、強調するためにアクセントがかかると長母音・二重母音化する。ただしこれらの原則は大母音遷移以降に輸入された借用語で成り立たなかったり、中間的な発音になるケースも多い。

例えば nationnational はいずれもフランス語からの借用語であり、第1音節にアクセントがある。14世紀初頭で既に使われていた nation は大母音遷移の影響を受けた。一方、16世紀以降に定着した national は大母音遷移の影響を受けずフランス語に近い発音のまま、あるいは第2音節の母音を消失させることで英語風の発音にしている。

現代英語の「長母音(long vowel)」とは二重母音化した母音字の発音を言い、(Uを除いて)「長く伸ばして発音する」ことではない。例えばAの長母音は /eɪ/、短母音(short vowel)は/æ/で、長母音はUを除いて英語アルファベットの読みそのものである。これゆえ、大陸のアー・ベー・セーがブリテン島のエイ・ビー・シーになった。

文法

方言と変種

英語は複数中心地言語であり、明確な標準語は存在しない。ただし、最も早くイングランドに植民地化されたアメリカでも17世紀初頭、それ以外は18世紀末から19世紀末にかけての植民地化によって英語圏となったため言語が分化する時間が短く、さらに英語圏諸国は密接な関係を維持しているために言語の断絶も少なくなっており、意思疎通ができなくなるほどの言語分化は起こっておらず、一体性を持った言語として存続している[5]。英語の系統としては、アメリカ大陸への植民によってアメリカ英語とイギリス英語の系統に分かれており、アメリカ英語系統はカナダ英語とアメリカ合衆国英語とに分かれ、合衆国英語は植民地化したフィリピン英語の元となった。これに対し、イギリスは18世紀末以降の積極的な植民によって世界各地に英語圏を広げていき、オーストラリア英語やニュージーランド英語、西インド諸島英語やインド英語など、カナダを除く旧イギリス領諸国の英語は全てイギリス英語の系譜へと連なっている[6]

一方、英語圏の辺縁においては、言葉の通じないもの同士が簡単なコミュニケーションを取るためのピジン英語が各地で成立した。特にカリブ海地域においては、奴隷貿易によって連れてこられたものたちの間で多様なピジン言語が成立し、さらに次の世代には母語話者を得て文法・語彙が整備され、ジャマイカ・クレオール語に代表される英語系のクレオール言語が多数成立した[7]。このクレオール言語は解放奴隷によって西アフリカへと持ち込まれ、クリオ語などの英語系クレオール言語がさらに成立した[8]。英領の太平洋諸島においてもこの過程は存在し、パプアニューギニアトク・ピシンなどの英語系クレオール言語が成立している[9]

方言